外国人モデルのキャスティングガイド➁|在留資格(ビザ)と契約の基本ポイント
外国人モデルをキャスティングする際、費用や出演料だけでなく、「ビザ(在留資格)」や契約面で日本人モデルと異なる点があるのではないかと不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
本キャスティングガイドでは、外国人モデルを起用する際に特に注意すべき在留資格(ビザ)と契約・権利関係について、実務の観点からわかりやすく解説します。

1.モデル活動が可能な在留資格とは?
∟ビザがあれば必ず仕事ができる?短期滞在でも撮影に参加できる?
2.肖像権など、権利や契約関係は?
∟契約書は英語が必要?押さえておくべきポイント
3.特に注意すべき「競合」問題
4.外国人モデルのビザと契約に関するよくある質問(FAQ)
5.まとめ
1.モデル活動が可能な在留資格とは?
■ビザがあれば必ず仕事ができる?短期滞在でも撮影に参加できる?
日本に滞在している外国人が、モデルやタレントとして活動するためには、就労が認められている在留資格を保有していることが大前提となります。代表的な在留資格は以下の通りです。
・永住者、日本人配偶者、家族滞在(活動制限が比較的少ない)
・留学・ワーキングホリデー(短期・条件付きで可)
在留資格によっては、就労可能な業務内容や時間が細かく定められており、入国管理局により厳格に管理されています。そのため、「日本に住んでいる」「ビザを持っている」という理由だけで、必ずしもモデル活動ができるわけではありません。
また、現在の在留資格がモデル活動を直接認めていない場合でも、「資格外活動許可」を取得することで、一定条件下でモデル活動が可能となるケースもあります。例えば、語学講師としての在留資格を持っている方が、興行に関する資格外活動許可を取得することで撮影に参加できる場合があります。
なお、興行ビザも一括りではなく、活動内容ごとに区分されています。CM・テレビ番組・映画への出演と、舞台や演劇出演では許可内容が異なります。たとえモデルとしての興行ビザを取得していても、新たに舞台出演が決まった場合は、別途その活動に対応した許可が必要になります。「興行ビザ=すべての芸能活動が可能」というわけではない点には注意が必要です。
さらに見落としがちなのが、在留資格には必ず「期限」と「前提条件」があるという点です。前回の撮影時には問題がなくても、次回の撮影時には在留期限が切れていたり、資格内容が変更されているケースも少なくありません。
また、在留期間内であっても、ビザのスポンサーとの契約関係が終了した場合(例:所属事務所を退所した、会社を退職した、学生ビザで卒業した等)は、その時点で就労資格が失効します。「ビザが残っているから仕事ができる」という認識は誤りですのでご注意ください。
在留資格制度は非常に複雑なため、不明点があれば必ずモデル事務所に確認することが重要です。信頼できるモデル事務所を選ぶことが、トラブル回避の第一歩となります。
フリー・ウエイブでは、登録希望者の在留資格を細かく確認し、必要に応じて資格外活動許可などの法務手続きを社内で行った上で、お客様にご提案しています。法令を遵守した安心・安全なキャスティングが可能です。

2.肖像権など、権利や契約関係は?
結論から言うと、肖像権や契約の考え方は、日本人モデルと外国人モデルで大きな違いはありません。「外国人だから特別な契約が必要」ということは基本的にありません。
モデル契約の本質は、「どの条件で肖像を使用できるか」を明確にすることです。契約時には、以下の項目を必ず確認・明記しましょう。
・商品名またはサービス名
・使用期間(延長条件含む)
・使用媒体
・使用地域
・競合の有無
・出演料(肖像使用許諾料を含む)
・支払条件
・契約期間
また、スケジュールが確定した後のキャンセルには、キャンセル料が発生します。一般的には、前日・当日は100%、それ以前でも50〜100%が目安となります。撮影日前営業日までスケジュールを仮押さえする場合には、別途キープ料が発生する可能性もありますので注意が必要です。
モデル事務所によっては、ストックフォトなどのロイヤリティフリー素材向け撮影を取り扱わない場合や、契約終了後のSNS投稿・アーカイブに関して削除要請が発生する場合もあります。事務所ごとのガイドラインを事前に確認することをおすすめします。
▼フリー・ウエイブのガイドライン
https://f-w.co.jp/guide/
契約内容に変更や追加が生じた場合は、必ず事前に事務所と相談し、条件と追加料金を明確にしてください。肖像使用に関する曖昧さを残さないこと、そしてやり取りをメール等で記録しておくことが重要です。
■契約書は英語が必要?
基本的には、クライアントとモデル事務所との二者契約となるため、英語の契約書は必須ではありません。モデル本人は、事務所とのマネージメント契約を通じて活動します。
三者契約や、モデル本人と直接NDAを締結したい場合などは、事前に相談すれば柔軟に対応可能です。
3.特に注意すべき「競合」問題
競合(同業他社への出演制限)は、最もトラブルが発生しやすいポイントです。重要なのは、競合条件を明確かつ具体的に提示することです。
例えば「飲食業界」といった広すぎる設定では、管理が煩雑になるだけでなく、出演料が高騰する要因にもなります。「ファミリーレストランチェーン」など、できるだけ範囲を限定することで、管理もしやすく、コスト調整もしやすくなります。
外国人モデルはフリーランスが多く、複数のモデル事務所に登録しているケースも少なくありません。競合管理が不十分だと、重大なトラブルにつながる可能性があります。そのため、競合管理体制が整ったモデル事務所を選ぶことが非常に重要です。

フリー・ウエイブでは、独自の管理システムにより、モデルの過去出演歴や同時期案件を厳密に管理し、スポンサー側にも競合範囲を明示した上でご提案しています。安心してご相談ください。
4.外国人モデルのビザと契約に関するよくある質問(FAQ)
Q1:外国人モデルはビザ(在留資格)があれば必ず仕事ができますか?
いいえ、必ずしも可能ではありません。外国人モデルが日本で活動するためには、モデル・芸能活動が認められている在留資格、または資格外活動許可が必要です。在留資格の種類や条件によって、就労範囲や期間が厳密に定められています。
Q2:短期滞在ビザや観光ビザでも撮影に参加できますか?
原則としてできません。短期滞在や観光目的の在留資格では、モデル活動や出演業務は認められていません。適切な在留資格を保有していない場合、クライアント側にも法的リスクが生じる可能性があります。
Q3:外国人モデルと日本人モデルで契約内容に違いはありますか?
基本的な契約構造や肖像権の考え方に違いはありません。外国人モデルであっても、撮影日・使用媒体・使用期間・使用地域・競合・出演料などを明確にする点は日本人モデルと同様です。
Q4:外国人モデルを起用する場合、契約書は英語で作成する必要がありますか?
必須ではありません。一般的にはクライアントとモデル事務所の二者契約となるため、日本語契約で問題ありません。三者契約やNDAをモデル本人と直接締結したい場合は、事前に事務所へ相談することで対応可能です。
Q5:外国人モデルの在留資格は撮影ごとに確認が必要ですか?
はい、毎回確認することが重要です。在留資格には期限やスポンサー条件があり、前回の撮影時に問題がなくても、次回には条件が変わっているケースがあります。モデル事務所による事前確認が不可欠です。
Q6:外国人モデルの競合(出演制限)はなぜ注意が必要なのですか?
競合条件は最もトラブルが起きやすい項目です。範囲が曖昧だと、出演料が高騰したり、後日トラブルにつながる可能性があります。業種・カテゴリーを具体的に限定することで、管理とコストの両面で最適化できます。
Q7:事務所を通さず、外国人モデルに直接依頼しても問題ありませんか?
おすすめはできません。在留資格の確認不足、競合管理の不備、当日の出演トラブルなど、リスクが高くなります。法令遵守とリスク管理の観点から、信頼できるモデル事務所を通じた依頼が安全です。
Q8:フリー・ウエイブでは在留資格や契約面もサポートしていますか?
はい。フリー・ウエイブでは、登録時に在留資格を厳格に確認し、必要に応じて資格外活動許可の法務手続きを行っています。契約面でも法務チェックを徹底し、安心して外国人モデルを起用できる体制を整えています。
5.まとめ
今回は、外国人モデルをキャスティングする際に重要となる在留資格(ビザ)と契約・権利関係について解説しました。特に在留資格は専門性が高く、判断を誤ると法的リスクにつながります。
フリー・ウエイブでは、マネージャーに加え、ビザ書類作成や申請取次を行う専門スタッフが在籍しており、モデル活動に必要な在留資格を厳格に管理しています。登録段階から審査を徹底し、提案するモデルはすべて法令遵守を前提としています。契約面でも法務チェックを徹底しており、安心・安全な外国人モデルキャスティングを実現しています。外国人モデルのキャスティングは、ぜひフリー・ウエイブにお任せください。

(執筆者:高橋 睦実)
株式会社フリー・ウエイブ代表取締役。1992年に外国人ダンサーやモデルをマネージメントする有限会社フリー・ウエイブを創業し、2003年に株式会社へ改組。広告・TVCM・映像・イベントまで幅広く手掛け、業界屈指の大規模外国人モデル事務所を築き上げる。
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