ストレス解消法を持とう。【教えて! ママ・アミア!】

ママ・アミアSurvivingJapan LIFESTYLE

日本に住んでいるすべての外国人に贈る! 頑張っているあなたに、ママ・アミアのあったかくて、ときに厳しい、日本で生き抜くためのサバイバルコラム。メンタルのケアから、ゴミの出し方まで!? 寂しくなったらいつでもここに帰ってきてね!(もちろん日本人だって大歓迎!)
今回はストレスの解消法についてのお話です。

18歳に渡米。東日本大震災でボランティアのために日本に帰国

ねぇ、90秒だけ時間ちょうだい。これをぜんぶ読んでくれたら、細かい自己紹介は後回しにするから。

ちょっと説明するね。わたしは日本滞在期間が25年くらい。東京で生まれて、18才まで日本の学校とインターナショナルスクールと両方に通ったのね。
家では英語、外では日本語を話していたので、日本のことはわたしの魂の中に染み込んでるっていうか、よくわかるの。

18才のときからずっとアメリカで生活していたんだけれど、2011年に起きた東日本大震災直後にボランティアをするために日本に戻ったのね。そこから2019年の今日まで日本にいるの。

ボランティア活動時

突っ走って乗り越えて。ハードだった毎日

この8年間、けっして楽しくはなかったの。ものすごく意味ある仕事が出来たし、ものすごく頑張って、ものすごい成果を残したんだけれど、けっして楽しくはなかった。大震災という課題そのものが重いし、そこでずっと働いて、辛い気持ちを抱えている人たちと向き合っていたんだから、今振り返ると当たり前。
がんばりすぎて遊ぶなんて考えてもいなかった。バカみたいに高いハードルに向かって、突っ走っては乗り越えての繰り返しで、とにかく半端なくしんどかったのが、この8年間。

達成感はあったか? もちろん。
幸せだったか? ノー。

はい。ここで90秒。読んでくれてありがとう。

大事なのはストレスの解消法「コーピングメカニズム」

なぜこの話をしているかって? あなたも日本に来て、ルールとか習慣とか、まわりで何が起きているのか、わからないとか、色々と経験しているでしょう? 時々、限界、too muchだよね。too muchをはるかに超えるときもあるよね。わたしもそうだった。

ここで重要なのがコーピングメカニズム。コーピングメカニズムっていうのは、ストレスの対処法。どのようなコーピングメカニズムを使うかが大事よ。
「わたしは大丈夫」だけを繰り返していると、あとが怖いわよ。too muchだと思ったら助けを求める。too muchだと思うということは決して恥ずかしいことではない。でもね、too muchの向こうにたどり着けるわよ。信じて。

繰り返すけど、過去のわたしは働きすぎた。遊ぶ時間なんてなかったし、遊ぼうとも思ってなかった。完璧に疲れていたのにそれを認めず、尽くしていることだけに集中して、自分のニーズはまったく無視してたの。幸せに、ハッピーになりたかったんだけど、どうすればいいのかがわからなくて。
自分が何が好きなのか。何をしたらハッピーになれるのかが本当にわからなかった。

故郷アメリカの食べ物がわたしを救った

そのうち何となくわかってきたのが、日本にいる間に一番恋しかったもの。それが、アメリカに住んでいたときに食べていたものだとわかったときにはすごく嬉しかった。
自分で作れるものもある。マカロニ&チーズとか、ワッフルとかチョコチップクッキー。でも、食べたくても食べられないものの存在。これが大きかったわね。

わたしが一番食べたかったものは、メキシカン料理とパイ。メキシコとかアメリカで本場のメキシカン料理を食べてるから、東京に一件も美味しいメキシカンレストランがないことにはぶちぎれた。これは残念ながら日本ではギブアップ。そのかわり、アメリカに帰るたびに思いきり食べてるわ。

でもね。でも、だよ。パイは、ちょっと信じて。私ね、得意なの。作れるんだわ。ヨーロッパにはミートパイとかあるわよね。私はアメリカ人だから、パイは甘いもの。デザート。
パイを作り始めてすぐにわかったのが、香りで癒されたこと。シナモンとバターと白砂糖のこの香ばしい香り。香りと味と両方経験できるからこんな嬉しいことはなかったの。

わたしのコーピングメカニズムは、甘いパイの香り!

香りで癒されるということがわかったときの気持ち。これってものすごく、ものすごく重要なこと。香りでママのキッチン、おばあちゃんのキッチンを思いだしたの。これは、わたしにとって非常に大きな発見だった。

あなたたちも、半日でも1日でもじっくり自分の心を見つめて「何が大事か」、「何が欲しいか」を問いかけて、追いかけてみて。おすすめよ。
シナモンとバターと白砂糖を発見しなおしたときからのわたしが、どこまで変わったか。きっとあなたにもあるわ、こんなコーピングメカニズムが。

諦めないで。確かに日本での生活は大変なときもある。日本にいて寂しいと思うのもわかる。頑張っても頑張っても認めてもらえないときの辛さもわかる。でも、ここで諦めるんじゃないよ。

そう。そしてパイが食べたければ連絡ちょうだい。他にはない、マジで美味しいパイ作ってあげるから。

さぁ、前向いて!

(TEXT・MAMA AMIA/EDITOR・kaori)

ママ・アミア(MAMA AMIA)

料理人・タレント。日本育ちのアメリカ人。18歳で渡米、通訳やコンサルティング業に従事する。2011年、東日本大震災を受けて退職し、陸前高田市にてボランティアを開始。7年にわたり数々のメディアを通して世界に被災地の情報発信を続ける。2014年には岩手県知事から表彰、2018年には在サンフランシスコ日本総領事館から総領事表彰を授与された。
別名「Pie Queen」。ハードなボランティア活動で心が疲弊していたある日、故郷の食べ物——バターと砂糖が焼けるパイの香りに癒やされることに気づき、パイの販売を始める。2019年より「ママ・アミア」の名で活動開始。日本在住外国人のママとして元気を発信中。相撲が大好き。
所属事務所Profile

Food consultant/Talent. American born and raised in Japan. Returned to the US at age 18 for university, and continued on as an interpreter and US-Japan consultant. Came back to Japan in 2011 to volunteer in the aftermath of the Tohoku disaster and stayed on in Rikuzentakata (Iwate Prefecture) for seven years. Raised funds, liaised with major international media outlets for coverage of the city and region. One of the primary sources of information on the disaster region for foreigners. Recognized and awared by the Governor of Iwate in 2014 and the Consul General of the Japanese Consulate of San Francisco in 2018 for the work and dedication to promoting awareness. Also known as the PieQueen. Found the scent of baked goods was both food for the soul as well as emotionally therapeutic, she began a business selling American-style pies. Working as Mama Amia as of 2019 promoting cooking and baking using traditional Japanese ingredients and offering advice to foreigners in Japan as "your mother in Tokyo". Big fan of sumo.