【MY STORY】LGBTQ+理解に変革を。『Xファクター』のファイナリスト ジェイソン・ブロック

MY STORY

世界中の人たちにLGBTQ+が見えるように
パフォーマンスと「前進」を続けます!

アメリカ出身のジェイソン・ブロックさんは、アメリカの人気リアリティ番組「Xファクター」でファイナリストに選ばれた実力派シンガーです。伸びやかな歌声と明るくチャーミングなキャラクターで、テレビや映画、舞台などでも活躍中。エンターテイナーとしての活動も広げながら、明治大学で政治を学ぶという学生の顔も持っています。これから叶えたい夢や東京での生活、日本社会についての意見もお聞きしました。

学生として、エンターテイナーとして

私は、シンガー・俳優・エンターテイナーをしながら大学にも通っています。だから、学生とエンターテイナー、両方の面でいろいろな発見ができたらいいなと思って、日本にやって来ました。明治大学では、政治経済と日本語を専攻しています。私はいつか世界に影響を与えられるようになりたいと考えていて、そのためにはまず政治を理解することが重要なことだと思っているの。仕組みすら分かっていないのに政府の構造に影響を及ぼすなんて、到底できっこないわ!それから、日本語が流暢に話せるように勉強中。達成するのが難しい目標ではあるけれど、頑張っているところです。

日本は本当に最高よ!勉強はもちろん楽しいし、さらにデートスポットもたくさんあって、刺激的な毎日を送れているの。

歌うきっかけをくれたのは、両親と“カラオケ”

私の両親は二人ともシンガーソングライターなんです。私も兄弟も、両親から歌や楽器の演奏を頻繁に勧められていました。なんとコンサートの観客の前でも!だから「音楽に関わること」は、家族から受け継いだというか、生まれてからずっとやってきたことなのよ。でも始めるまでは、歌うことが本当に恥ずかしかったです。今の私を知っている人は、想像できないでしょ(笑)?初めて人前で歌ったのはアメリカのカラオケでした。日本発のカラオケのおかげで自信を持てるようになったんです。

「Xファクター」への出演で人生が一変!

転機になったのは、アメリカの人気番組『Xファクター』のファイナリストとして出演したこと。ここで私の人生は劇的に変わったわ。昼間の仕事を辞めて、フルタイムのミュージシャンとして働き始めたの。最近、街中で私に気づいて駆け寄ってきてくれる人がいるんだけれど、すごいことよね!とにかくたくさん変化があったから一言で説明するのは難しいけれど、一番変わったのは、自分自身やパフォーマンス能力に対しての感じ方かしら。自分の能力にすごく自信を持てるようになったんです。Xファクターに出る前は、パフォーマンスすることは大好きなんだけれど、一方で自分の才能に100%自信を持てていませんでした。でも、多くの人が認めてくれて、評価してくれて、「自分はパフォーマンスをしていいんだ」という自信につながっていきましたね。
変化と言えば、テレビや映画への出演料も大きく変わりました。およそ4~5倍になっているかも。改めて考えると、メディアに出演するって、すごいことよね。自分だけでメディアに出演しようと思ったら、何億円も自腹を切らないといけないんじゃないかしら。なのに、私は出演料をもらいながら、世の中にパフォーマンスができています。幸せなことよね。

人生で初めて感動したシンガーはTina Turner

たくさんのアーティストからよい刺激を受けているので、「一番好きなシンガーは?」という質問で一人だけ選ぶのは難しいです。でも、一番最初に歌を聴いて感動したシンガーはTina Turnerですね。彼女の声を聴くと、自分が今まで味わったたくさんの感情と痛みが伝わってくるの。それに、彼女が成功するために、色んなことを乗り越えてきたという背景も心揺さぶられますね。彼女は壮絶な人生を送っていたから。お気に入りの曲を一つあげるとすれば……難しくて言えないわ!本当にすべての曲が大好きだから、一曲なんて選べないのよ。例えば、『Misty』(a jazz standard)と『花は咲く』 (“Flowers will Bloom”)は、同じくらい素敵だと思います。どちらも違う感情が湧いてきて、素晴らしいわ。

マツコ・デラックスが大好き!

好きな日本のエンターテイナーはマツコ・デラックスさん!マツコさんはとっても率直に発言するわね。そこが大好きです。ゲイコミュニティの味方になって意見も出してくれるし。マツコさん自身がLGBTQ+かどうかは分からないけど、テレビでたまに男性とちょっとイチャついたりしてるでしょ?だから「そうなのかも?」って、個人的に共感しているんです。共演したい人は、もちろんマツコさんよ!それから山里亮太さん。彼はすごく面白いわ!あと、YOUさんはかっこいいし、優しくて大好き。出演したい番組は、『のど自慢・ザ・ワールド』。それからマツコさんがMC番組にも出てみたい!

東京のお気に入りスポットと過ごし方

よく遊びに行くのは新宿2丁目。東京でLGBTQ+の地区として有名よね。自分がゲイだから、その場所が落ち着くし、そこで新しい人と会うのが大好きなのよ。特にAiro Café、Arty Farty、Dragon Menがお気に入りよ。

日本とアメリカの違い

日本とアメリカの違いで、一番大きいのは考え方の違いだと思います。日本は集団的思考だけど、アメリカはもっと個人主義的思考ですね。だから、日本人はアメリカ人よりも他人を思いやる傾向が大きいと感じています。その姿勢は、とても素敵だと思うわ。
あと、日々の生活環境の違いで言うと、日本では街中にごみ箱がほとんどないのでビックリしました!アメリカではごみ箱はどこにでもあるけれど、日本ではごみの捨て方に「戦略的」にならないといけないですね。例えば、マクドナルドでミルクシェイクをオーダーした時、飲み終わったらカップは店内で捨てるか、外に出るとしばらく持ち歩かないといけません。物を買う時には、その後のことまで考えなくちゃいけないわ。でも、しっかりゴミを捨てられるところを見つけたの。電車のホームのごみ箱!あそこは色んなタイプのごみを捨てられるから、安心の空間ね。

日本で困ったこと、理解できないこと

日本語を勉強する上で、漢字は本当に難しい!でも日本でもっと理解できないのは、私の大好きなサングラスをあまりかけないこと!かけると失礼な印象になるのかしら?

他にも、難しいと感じることはいくつかあって、例えば人と接する距離感。私が人に笑いかけても、笑顔を返してくれない人がいるの。個人の性格だという意見に加えて、文化の違いが理由とも聞いたわ。もう慣れたけれど、あまりむやみに人に笑いかけたりしないように気を付けています。

日本のLGBTQ+の現状について

日本のLGBTQ+のコミュニティは大好きです。たくさんの人たちが前進してくれていて、とても嬉しく思います。ただ、残念なのは同性愛者の結婚が認められていないことですね。認められない限り、同性愛者のカップルはストレートの人たちと、本当の意味で平等にはなれないと感じています。あと、恋愛はできるけれど、日本だと結婚しても滞在許可を得られないから、その人と一緒に暮らせないんです。早くこれが改正されて欲しいと願っています。
もう一つ残念なことがあります。それは、日本では自分がゲイであることを、両親や同僚にカミングアウトする人が少ない現状です。大勢の日本人のゲイと話してきましたが、大多数の人がカミングアウトしていません。言いにくい理由はわかります。でも、カミングアウトするまで、彼らの存在って見えないままだと思うんです。もし自分たちの存在が見えざるものだったら、ストレートの人たちは「LGBTQ+の人たちがたくさんいるんだ」って分からないまま。それでは権利なんて与えられようがないと思います。もっと前進すれば、いろいろな価値観が認められるはず。その取り組みに、少しでも力になっていきたいです。

(TEXT:Jason Brock/TRANSLATION:Megumi Kutsuzawa/EDITOR:Write Design )

ジェイソン・ブロック/Jason Brock
満開の向日葵のようなスマイルと愛嬌たっぷりのエンターテイナー
所属事務所プロフィール

Ohayo Quest [FIRST TIME in SHIBUYA // 初めての渋谷]