女優・モデル・アート制作などは私の全てを表現できる大切な存在
バンクーバー出身のKylaさんは、カナダやオーストラリアでテレビ、映画、舞台などへの多数の出演キャリアを持ち、来日後も多彩な芸能活動を展開しています。絵画制作でも個性を発揮し、アーティストとしての顔も。「感謝の気持ちを忘れない」という姿勢を持ってエンターテインメント業界で活躍するKylaさんに、デビューのきっかけや今後の夢、そして外国人タレントの日本での活躍の仕方なども合わせてお話を伺いました。
日本への興味のきっかけは「江戸時代の描写」
私の出身はカナダ・バンクーバーで、オーストラリアの大学では演技を学びました。これまで多くの国や地域を訪れたことがあって、アメリカ(シアトル、シカゴ、ニューヨーク)、フランス(パリ)、アフリカ、アジアなどを回りました。日本に対しては、歴史や文化に子どものときから興味を持っていたんです。映画で知った日本の江戸時代に、特に関心がありました。描写がとても力強く統一的で、スピリチュアルで、当時の生活が情感的で神聖に描かれていたんです。美しい芸者の趣深い自然な姿にとても衝撃を受けて、10歳のときには初めて芸者の絵画を描くことにもチャレンジしました。
昨年、彼と日本へ引っ越してきました。まだ日本語はうまく話せないですが、毎日の経験を大切にしながら過ごしています。私たちは2人とも、新しい環境で困難に向き合いながらも、新しい人生に感謝したいと思っています。
大学の演劇コースで2,000人中の14人に合格
幼少期の私が毎週楽しみにしていたことは、両親とビデオショップに行くことでした。両親は映画が大好きで、私も一緒について行ってたんです。エンターテインメントは身近な存在でした。10歳になる前から、アメリカのシアタープロダクションで朗読や演技を始めます。そして、初めてのお仕事は14歳のとき。語学学校のコマーシャルで、先生に質問をする生徒の役を演じました。
その頃から、「この世界でキャリアを作っていこう」と決めたんです。自分の想像力を開花させて、役を演じることは私の大きな喜びでしたね。オーストラリアの高校を卒業後、大学の演劇コースに進みます。このコースは毎年2,000人もの候補者がオーディションを受ける場所で、私は14人の合格者の1人になれたんです。3年間、映画と舞台の勉強をして、2013年に成績優秀者として卒業!それからは世界中を旅して、自分の才能と情熱を活かせるエンターテインメントの業界で、たくさんのエージェンシーと仕事をしてきました。
もし是枝裕和監督と仕事のチャンスがあれば、飛びついちゃいます!
これまで日本で出演したベストの作品は、2019年初めの三菱自動車のテレビコマーシャルでの母親役です。この撮影が特別だった点は、アメリカ人監督のビジョンがとても明確で、これまでの私とは違った演技を試すチャンスをくれたんです。あと、撮影の間、“演技上の家族”がいたのですが、ロケに行って一緒に泊まったりして、改めてプロフェッショナルでいることに価値を感じられて、本当に全員が大好きになりました。素晴らしい作品に仕上がって世界中で放送もされて、私も含めてこの作品に携わった全員を誇りに思えています。
もし今後、信じられないくらいラッキーが重なったとすれば、是枝裕和監督と一緒に仕事がしたいです。2018年にオスカー賞にノミネートされた『万引き家族』は衝撃的でした。日本ではイングリッシュスピーカーの役が少ないので、長編映画のキャスティングのチャンスになかなか巡り合えないですが、もし是枝監督ほどの才能のある人と仕事ができるチャンスがあれば飛びついちゃいます!
10年以上に渡ってアート作品の制作に関わっています
休日や、自分の時間があるときには、アート作品の制作と向き合っています。もう10年以上に渡って作品の制作と販売をしていて、本当に私の大好きなことなんです。アクリルや水彩絵の具を使って絵を描いたり、いろいろな材料や素材を使って描いています。子どものときから絵画のレッスンは受けていました。12歳のある日、普段通っているアートスクールとは違う学校の授業を受けたんです。そこは『Fraser River Valley School of Art』という学校で、私の好きな画家・ロバート・ワイランドが描いた壁画があったんです。彼の作品は全て海や水中に住む生物がテーマになっていて、幼少期に私が影響を受けた画家の一人ですね。あと、ゴッホやレオナルド・ダ・ヴィンチ、エゴン・シーレーも私が影響を受けたアーティストたちです。
アート作品は私に様々なサポートをしてくれる存在
絵を描くことが好きな理由は、言葉を介さない自己表現の自由だったり、自分が見たものや夢見たことに新しい解釈をさせてくれるところですね。キャンバス上にあるのは額だけで、ルールなんて存在しないんです。例えプロのアーティストでなくても、みなさんも絵を描くことは経験すべきことだと思ったりしていませんか?何か素晴らしいことに携わっているとき、人は素敵な時間を過ごせますよね。自分の作品を創ったり、誰かとその話をすることによって、今までつながりのなかった他の誰かと通じ合うことができると思っています。オーストラリアに住んでいたとき、自分の部屋の壁は絵で埋め尽くしていました。そのおかげで、誰かと面白い話を始めるきっかけになっていたし、誰かと仲良くなることにも役立っていました。大学時代は自分の絵を売ることで、経済的な支援にもなってくれたし、いろいろな場面で私をサポートしてくれる存在です。アートは自分の言葉が見つからないときに行き着く場所であって、自分の能力が年齢を重ねるごとに高まっていく過程も嬉しいですね。
手厚いサポートのエージェンシーを見つけることが成功への道!
私の日本での芸能活動は、Free Waveに入ったことから始まりました。もし日本でモデルや俳優活動をしたいと思っている外国人へアドバイスを送るとすれば、「タレント事務所を探したことある? それでFree Waveのことを聞いたことはある?」と最初に質問したいですね。Free Waveのマネージャーは優しい人ばかりで、タレントのために熱心に時間を費やしてくれます。感謝してもしきれないくらい。演技に対する私の情熱を応援してくれて、ビザ申請などのサポートがあってこそ、私は今日本で働けています。エンターテインメント業界で活躍したいと思うならば、彼らと同じくらい手厚いサポートをしてくれるエージェンシーをリサーチすることが何よりも大事だと思います。
もちろん自分の努力も重要です。私自身、クライアントさんが以前のプロジェクトに満足してくれて、キャスティングを指名してくれるようになるまで、約1年日本で頑張り続けました。私を知ってもらえたことに感謝もしています。私が大切にしていることは、「自信を持つこと」「自己管理」そして「意欲」です。もしオファーがギリギリだったとしても、しっかりとできる限りの準備をして挑むことで、その姿勢はきっと評価してくれます。あと、「他の人に優しく、寛容的であること」も大切にしています。感謝の気持ちを忘れず、思いやりをもって接することで、みんなの記憶にもしっかり残ると信じています。
映画や舞台のステージに関わり続けたい
学生時代からの私の夢は、自分の家族や友達にもシェアできるような素晴らしい映画やクリエイティブなプロジェクトに携わること。映画や舞台などで、例え複雑な役だったとしてもなりきって、自分なりに解釈することが大好きなんです。近いうちに映画の学校に通うことを考えていて、将来は自分でプロジェクトを監督したり、ストーリーを書いたり、クリエイティブな人たちと一緒に作品を創ることにも挑戦したいと考えています。製作の
過程がとても好きで、どんなスケールでも構わないから、映画のセットや舞台のステージに関わり続けることが、私の最大の夢であり喜びです。
(TEXT:Kyla N/TRANSLATION:Megumi Kutsuzawa/EDITOR:Write Design )