【MY STORY】椎名林檎に会いたい – ディープな追求心で日本の音楽を世界へつなぐ ジェット・アクセル

MY STORY

生きがいでもある日本発祥の音楽を、
自分自身の感性を通じて海外へシェアして広めていきたい!

紳士的でありながらとても穏やかな人柄と、個性的で凛とした佇まい、独特な存在感が魅力のジェット・アクセルさん。ファッション系モデルとして活躍する一方で、楽曲制作やラジオ番組のホストを担うなど、アクティブな活動を行っています。音楽への熱い情熱を持つ彼が日本に来たのも、音楽の影響が大きいそう。日本の音楽への想いやパワーの源、今後の夢などを伺いました。

日本での出会いが生み出したやる気

モデルを始めたのは、まだロンドンに住んでいるときでした。モデルスカウトで有名なUnsignedGroupのCesar Perinにスカウトされたのですが、当時僕は大学生で、モデル業に特別な興味もなく重点も置いていませんでした。

そんな僕が本気でモデルの仕事に取り組み出したきっかけは、日本での写真家・池野詩織さんとの出会いです。彼女は『ZAZEN BOYS』や『GEZAN』のバンドメンバーと友達で、ライブ会場のすごい人だかりの中から自分を見つけてくれました。撮影のために、池野さんと彼女の友達と一緒に高円寺を回ったことが刺激的で、ヤング&クールな日本人のライフスタイルを疑似体験できました。そして自分とは全く違う人生を感じることで、「もう少し真剣にモデルの仕事をやってみよう」と決められたんです。

 

生きがいは日本の音楽

日本に来た理由は、日本の音楽がすごく好きだったから。パンク、ジャズ、ヒップホップ、演歌、歌謡曲、和楽器、なんでも好きですね。自分の人生の生きがいです!

12年ほど前、偶然ロックコンサート会場で『SOIL&”PIMP”SESSIONS』というバンドに出会って、変わったバンド名とワイルドなスタイルにすごく惹かれました。その後彼らについて調べて、本物のハードコアなジャズを追求していると分かってからその面白さに夢中になって、日本の音楽メディアにたくさんの時間を費やしてきました。自分の好みもありますが、時々とても感化されるような音楽やミュージシャンにも出会えることが楽しいです。

素晴らしい偶然がモチベーションに

日本に来てから不思議なことはたくさん起こっていますが、その中でも一番驚いたことは『DALLJUB STEP CLUB 』の森 心言に、下北沢の駅の外で偶然会ったこと。彼のバンドのTシャツをいつも着ていたから変な感じで、二人で叫び出すまでお互い2,3秒ボーっと見つめ合っていました。友達と待ち合わせをしている時に、偶然大好きなグループのフロントマンに出会っただけなんだけど、超クールな体験だったし、僕がライブに来たのを覚えてくれていたことが驚きでした。このバンドは心の底から大好きなので、覚えてもらっていたことが、自分の今の活動を続けていくモチベーションにもなっています。

アーティストからパワーをもらっています

数ヵ月前、伝説的ガールズパンク系バンド『つしまみれ』が結成20周年のお祝いで、笹塚の小さな場所で20時間ぶっ続けで演奏したことがあったんです。彼女たちの全曲、トータルで150曲ほどは演奏したのではないかと。一番長い休憩はたった20分くらいだったにも関わらず、全く演奏の勢いが落ちなかったんです!このバンドに何回も会えてラッキーだし、本当に素晴らしい人たちだから、これからさらに有名になって欲しいですね。なかでも【宇宙エレベーター】が絶対的なベスト。おそらく今まで聞いてきたロックナンバーの中でもお気に入りのコーラスだと感じます。彼女たちの活動を見ていると、大きな名声はそれほど重要ではないと気づかせてくれます。みんな彼女たちみたいになりたいのでは?

他にも好きなアーティスト・曲はたくさんあります!僕なりの視点でご紹介します。

CRCK/LCKS 『窓』
ポップなサウンドとジャズの影響が強く出ている新しいグループです。聞きやすさと世界レベルのミュージシャンシップと技術の高さをうまく生かしていて、将来、確実にビッグになります!

DALLJUB STEP CLUB『Pizza Pizza』
今東京でムーブメントを巻き起こしているグループの一つ。彼らのスタイルは言葉で表現するのが難しいですね。ミュージシャンシップとジャズのエスプリが彼らの作品には詰まっていて、エレクトロニックな音楽の中にライブの臨場感があふれています。Pizza Pizzaは多分一番面白くて分かりやすい例なので、聞いたことがない人はこの曲から聞いてみてください。

大貫 妙子『4:00 AM』
これはYouTubeのアルゴリズムが2,3年前にすごいオススメしてきた、1978年のアルバム“Mignonne”からの曲です。『Marvin Gaye』【I Wanna Be Where You Are】からインスピレーションを受けていて、彼女の作品の中でもゴージャスな一曲。バックミュージシャンがオールスター勢ぞろいで、日本ではなかなかないレアなグルーブが豪華な仕上がりです。この曲は【Plastic Love】にとって代わって人気が出ると思います。

ペンギンラッシュ『アンリベール』
数年前に偶然発見した、名古屋出身の本当に若くて才能のあるグループです。彼らの作品は今のところ全部好きで、最近この曲のビデオが出たのですが本当に素晴らしい!僕があげた他のアーティストに比べると知名度は低いけれど、有名になるのは時間の問題だと思いますね。

ZAZEN BOYS『DARUMA』
お気に入りの中でもトップクラス。向井秀徳の『NUMBER GIRL』の伝説的後継グループで、華やかなミュージシャンシップと予測不可能なワイルドさ、ファンキーさ、そして日本独特のユニークさを融合させているんです。2018年に加入した新しいベーシストであり僕の個人的なヒーローMIYA (元『BLEACH』、現『385』)と一緒に会ってから、ずっと大好きなグループです。

オフは自分の充電時間

音楽を作ったり(びっくりでしょ?)散歩したりしています。東京を歩いて回るのが大好きで、未知なるエリアを開拓するのがとても楽しいんです。ゆとりがある時は、たとえ2,3時間かかっても歩くようにしています。フィジカル的にもメンタル的にも健康にいいですし、長い時間音楽を聴くための言い訳にもなるので(笑)。

いつかは自分のルーツであるジャマイカへ

僕のルーツはジャマイカだけど、まだ行ったことがないんです。ジャマイカは小さい国で、人口は横浜以下。暗い歴史もあるのですが、ポップカルチャーのフィールドではすごく大きな影響を持っている国でもあります。ボブ・マーリーやウサイン・ボルトのように世界中で崇められている人達もいるし、ジャマイカの音楽はポピュラーな音楽にも影響力がある。本当に、いつか行きたいと考えています。

忘れてはいけないモデルとしての心得

モデルをするうえで大切なことは、優しくあること。どうしてもフラストレーションがたまったりもするし、正直退屈な気分になることもあります。時々コミュニケーションの難しさを感じることもある。でも、セットにいる全員が同じ方向を向いていないと、良い結果は出せません。モデルの仕事ができることは本当に光栄だし、感謝も大切です。表舞台の裏側で僕たちモデルが輝けるようにと、一生懸命サポートしてくれている人たちがいて、僕たちは「仕事がうまく行くように」と、彼らを信じる。こうしたマインドを忘れてはいけないですね。

飽くなき探求心が新たなキャリアに繋がりました

日本の音楽シーンについてもっと知識を広げたいなと思って、いくつかそれに特化したオンラインコミュニティに入ってみたんです。そこでの活動が、Crawford BlairとWilliam Burnettの目に留まって、日本の音楽を流すラジオ番組のホストとして彼らと共演することになりました。Crawfordは、今は無きアニソンのオンラインラジオ番組を始めるアイデアを練っていたんです。一緒に飲みに行ってアイデアを出し合っているうちに、自分たちのテイストやパーソナリティがいい具合に違ってることが逆に面白く感じました。そこから月1回のペースで集まって、スタジオで録音をし始めました。1エピソードの長さはだいたい1時間半くらいで、内容は音楽に関しての話。どうやって出会ったとか、その音楽の背景だったり、たまにアーティストや関係者のインタビューとかも含まれています。

ハイライトはNHKのPeter Barakanと話が出来たとき!彼が作詞家・翻訳家として参加した『Yellow Magic Orchestra』の仕事の話を聞かせてもらいました。同時期にBBCでインターンしながらブロードキャスターとして自分のスキルを磨いたりもしていましたが、ショーの回数を重ねるごとに僕のプレゼンテーション能力が格段に上がっているのが分かると思います。3年間で70エピソードのショーをこなしてきて、今でも時々行っています。

日本の音楽を海外に発信していきたい

将来はJ-MELOのような番組を持って、日本の音楽の違った局面やコアな部分をディスカッションしてみたいです。アニソンやアイドル文化をすごくプッシュしていて、その人気の大きさは理解しているんだけれど、他にも日本発祥の面白い音楽がたくさんあると思うんです。

日本のクールな音楽を海外の人とシェアすることが僕のやりたいこと。そうすれば、海外でツアーをする日本人アーティストが増えるかもしれないですね。
『椎名林檎』さんにお会いするのも夢です。彼女は完全に別次元の人なので。あと、もし共演できるとしたら、『水曜日のカンパネラ』のボーカルKOMさんとご一緒できたらすごく気持ちいいと思います。いつか彼女に曲を提供できたら最高ですね!

(TEXT:Jet Axel/TRANSLATION:Megumi Kutsuzawa/EDITOR:Write Design )

ジェット・アクセル/Jet Axel
日本の音楽こそが生きがい – イギリス出身の音楽ギーク&モデル
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