仕事が決まるようになる! 現場をハッピーにする出演者になるためには?

現場をハッピーにする出演者になるためには?仕事が決まるようになる! MODEL’S STEP

モデルらしいスタイルで、演技もソツなくこなし、日本語もペラペラ……。稀に存在する、そんなモデルが多くの仕事を得るのは当然ですよね。

書類選考やオーディションに受かるためには、もちろん見た目や才能、能力は重要なこと。
ただし、「なぜかいつも仕事を勝ち取る」「オーディションに呼ばれる」「マネージャーがプッシュする」そんな人も存在することは周知の事実です。

そんな人の秘密は、“いかにクライアントを喜ばせられるか”
仕事のオファーの多くはリピーターによるクライアントから。
書類やオーディションの映像で、モデルの顔は案外よく覚えられているものです。

そんなモデルが現場でやってはいけないことをしてしまったらどうなるか……。
その名前と顔は瞬く間に業界内で広まってしまいます。
ただし、プロフェッショナルの意識をもって、きちんと仕事をしていれば全く心配することはありません。
むしろ、あなたのいい噂もあっという間に広まるでしょう。

「じゃあ具体的にどうしたら気に入ってもらえるの?」これを気をつければ絶対大丈夫!

第10回では、具体例も交えてご紹介します。

マネージャー冷や汗だらだら!出演者の禁忌事項5

「みんなやってるから大丈夫」、「現場のスタッフにOKと言われたから」、
そんな理由でついついやってしまっていることはないですか?
慣れている人にこそ改めて読んでほしい、NG事項はこちら。

1. 写真を撮る

CM撮影などの待ち時間で暇を持て余し写真を撮ってしまう人、いますよね。
しかし、登録の際にサインをした同意書にもある通り、絶対にNGです。
なぜなら、公開前の情報を公にすることによって、クライアントが不利益を被ってしまうことがあるから。
オンエア前に絶対に公開NGな情報というのは、出演者はもちろん、衣装や現場のセット、新商品の情報などがあります。
「関係ない写真だから大丈夫でしょ?」いえいえ、そうではありません。
クライアントは「写真を撮られる」という行為自体にナーバスになっているのです。

そして、「写真を撮らなければ大丈夫」と、スタジオにスマホを持ち込み、ラインやゲームに夢中……。
クライアントから「お願いします!」と声がかかっても、なかなかスマホから手を離さない、というクレームが増えているという悲しい事実も。
とにかくスタジオ入りするときは、写真を撮る・撮らないに拘わらず、スマホの持ち込みは禁止!と考えましょう。

2. 遅刻する

日本人にとって、遅刻はプロ意識が低いと見なされる、絶対的NG行為。
だからといって、離れた場所にいるにもかかわらず「あと数分で到着する!」などの嘘も、マネージャーからの信頼を無くしてしまうので言語道断。

正直に“今いる場所”、“到着までどのくらいかかるか”を正直に伝え、現場ではしっかりと謝罪するのがベストです。

無断で遅刻するのはもってのほか。
現場に遅れてきている上に連絡が取れなければ、信用できない、と思われてしまいます。
体調が悪くても、前の現場が押していたとしても、必ずマネージャーに伝えた上で、いつでも連絡は取れる状態にしておきましょう。

3. 誰にも言わずにいなくなる

撮影現場では、他の出演者が撮影している間や、セットを変えている間など、待ち時間が発生してしまうこともしばしば。
そんなとき、何も言わずにコンビニへ出かけたり、喫煙所を探しに行ったりしていませんか?
たった5分いなくなっただけでも、タイミングが悪ければ出演者全員を待たせてしまう、ということも。
「少しの間だから大丈夫」と自分で判断せず、マネージャーや近くのスタッフに確認するようにしましょう。

4. 現場で機嫌が悪くなる

モデルの仕事が辛いところは、その長い待ち時間。
早起きをして集合したのにも拘わらず、朝食も食べらないまま、結局スタートまで何時間も待たされる……。そんなこと、よくありますよね。
そこでイライラしてしまうのもよく分かります。

でもそこで怒ってしまったらあなたの負け。

皆が辛いときに我慢をしてこそ、「次にお願いしたい!」と思われるモデルになる秘訣。
逆に考えれば待ってるだけでお金がもらえるなんて、最高じゃないですか?

また、食事が提供されるというのも、すべてクライアントの好意。
もらって当たり前、と思ってしまったら、クライアントはいい気持ちはしませんよね。

慣れている人はあらかじめ自分の食べ物は持参して、待ち時間に日本語の勉強をしたり、読書をしたりして待ち時間も上手に使っていたりしますよ。

5. その他

上記以外にも、悪気が無くても、思いがけない所で現場の空気を悪くしてしまったり、クライアントに迷惑をかけたりすることはあります。
実際にあったケースをマネージャーに伺いました。

「デオドラントを付けない人がいて、撮影後、衣装に体臭が残ってしまい、弁償してくれと言われた。」(マネージャA)

「せっかく役付きでドラマの仕事が決まったのに、当日台本を全く覚えてきていなかった。プロ意識の低さにがっかり」(マネージャB)

「エキストラたちのおしゃべりがうるさ過ぎて、ディレクターの指示が聞こえず、クレームになった」(マネージャD)

サイズが変わっていて衣装が入らなかった。ファッションカタログの撮影だったので冷や汗が止まらなかった」(マネージャE)

などなど、自分にとっては当たり前のことでも、思いがけない所でクレームが来ることもありえます。
場合によっては今後の仕事が危うくなるばかりか、マネージャーからも“危険人物”として見られてしまうことも。

「自分だけは大丈夫」と思っているあなた。

慣れている人ほどついつい些細なことをやってしまいがちなので、自分が当てはまらないかどうか、改めて気を付けましょう。

これをやったらもう終了?!モデルの本当にあった怖~い話

下記のようなことをしたらどうなってしまうのでしょうか。
もちろん発覚した時点でブラックリスト入り。
そんな絶対に避けたいNG行動はこちら。

現場に来ない

現場に来なかったらどうなるでしょう。
クライアントはお金をかけてスタジオやスタッフを準備していますが、出演者がいなかったらすべて台無しに。
連絡がつかずに当日も現れない時点で、ブラックリスト入りは確実です。
ある事務所では代役を立てられず、損害賠償を請求されたという話も……。

 酔っている、前日のアルコールが現場に影響している

ブラックリスト入りしてしまったあるモデルは、「体調が悪い」と言って現場に遅刻。お酒の臭いも残っており、明らかに二日酔い……。
マネージャーからの信頼も失い、クライアントからももう2度と声がかかることが無くなった、というエピソードも。

マネージャーのお気に入りに!
次々に仕事が舞い込むようになった、撮影エピソード集

「ベテランモデルのSは、いつもどんな時も現場では一切不満を言いません。雪が降る中、水着を着てビーチで撮影をした時でさえ、長時間頑張ってくれて、私もクライアントも感動。それからはクライアントもSばかりを指名してくれるように」。(マネージャーE)

「長時間のミュージックビデオ撮影。大勢のモデルがいる中、『3人だけ残ってくれないか?』とクライアントが声をかけたとき、真っ先に手を挙げてくれたモデルP。『私は一番かわいいわけじゃないから、こういうときに頑張らないと』と笑顔で言い、その後も頑張ってくれました。マネージャーとしてとても誇らしかったです」。(マネージャーF)

「演技の仕事で、台本を覚えているのはもちろんのこと、監督がどんなリクエストをしてくるかを想定して、色々なパターンで練習してきている子。マネージャーとして尊敬します」。(マネージャーG)

「プロ意識が高いCは、モデル撮影がある際は前日の17時以降何も食べないそう。むくみや次の日の体調につながるからだとか。」(マネージャーF)

プロとして当たり前のことをきちんとできるのはもちろん、ほかの人が敬遠してしまうことを率先して行ったり、現場では決して嫌な顔を見せないモデルが「またお願いしたい」と思われる秘密。

常に感謝の気持ちを忘れず、自分ができることを精一杯努力している姿は、マネージャーだけではなくクライアントの心も打つものです。
辛いことはもちろんマネージャーに共有するべきだけれど、現場では必ず見てる人がいることを忘れずに。

これがプロフェッショナル!
現場をハッピーにするモデルの過ごし方

現場ではクライアントを笑顔にし、マネージャーから仕事の電話が鳴り止まない……。
どんなクライアントからも愛される、完璧なモデルの1日を紹介します。

~撮影前日~

・待ち合わせ場所への乗り換え方法や所要時間を確認。
(電車の遅延に備え、到着時間は早めに設定。)

・持ち物や目覚ましなど、翌日の準備を済ませ、早めに就寝。

・むくみやにおいが残ってしまうので飲酒はご法度!

・清潔な状態で現場入りすべく、シャワーも済ませておく。

~撮影当日~

準備

・早めに起床したらマネージャーへテキスト送信。
・髭そりやヘアスタイリングなど、事前に言われていた準備を済ませる。
(スタイリング剤やシェイバーは念のため持参。)
・待ち合わせの10分前に到着し、マネージャーやクライアントと落ち合う。

現場入り

・撮影現場では現場の空気を読みつつ、クライアントに笑顔で挨拶。
・衣装は念のため多めに持参。マネージャーやクライアントに判断してもらう。

撮影

・スマホは控え室に置き、待ち時間は読書などをして静かに待つ。
・時間の延長などはマネージャーに随時確認する。
・最後まで笑顔で対応。終了後は監督やスポンサー、スタッフに笑顔で挨拶をし、いい印象を残す。

撮影終了

・メイクルームでメイクを落とし、着用した衣装は1つ残らずスタイリストに返却。
・撤収前に忘れ物がないか確認。

帰路・帰宅

・終了時間や現場についてマネージャーに報告。

まとめ

当たり前のように見えて、慣れれば慣れるほど、どんな人でもやってしまいがちなNG事項。
思いがけず寝坊してしまったり、現場の状況によってはイライラしてしまうのは、当然のこと。
ただ、そこでどうするか、その時の行動であなたの評価が決まります。
「みんなやってるから大丈夫」ではなく、みんなができていないことをやることで、あなたの評価が上がることを頭の隅に置いてきましょう。

高橋 睦実(Mutsumi Takahashi)

株式会社フリー・ウエイブ代表。茨城県・水戸市生まれ。1989年アメリカ法人「スター・ダンス・コネクション」日本事務局代表に就任。1992年、外国人ダンサーやモデルをマネージメントする有限会社フリー・ウエイブを立ち上げ、2003年に株式会社に改組。業界屈指の大規模外国人モデル事務所になる。趣味はジャズを歌うこと。猫好きで動物愛護団体への協力もしている。

President of Free Wave Co., Ltd.
Born in Mito, Japan. In 1989, appointed as the Head of Japan office of Star Dance Connection. Established Free Wave Co., Ltd. which represents and manages international dancers and models later becoming one of the top international model agencies in Japan. She likes jazz and cats. She is also working towards saving animals from cruel treatments