株式会社フリー・ウエイブ代表・高橋睦実の、モデルとして成功するための「モデルバイブル」。
前回は、「どうやって事務所を選ぶ? 芸能事務所とモデル事務所の違いとは?」をお伝えしました。
「モデルになりたい! でも事務所って本当に信用できるの?」
「スカウトされたけど、大丈夫かな?」
「オーディションに合格した! だけど養成所に入るように勧められて、とても高い!」
モデルや芸能人を目指している人の中には、こんな人もいるのではないでしょうか。
すでにそういった仕事をしている人が傍にいなければ、この業界の話はあまり聞こえてきません。
不安になる人が大半だと思います。
そこで今回は、実際に事務所を選ぶにあたって、安全な事務所の見極め方をお伝えします。
今も昔も、業界に憧れる人がトラブルに巻き込まれる話は後を絶ちません。
この記事で紹介するポイントを参考にして、良い事務所と出逢ってください。
安全な芸能事務所・モデル事務所を見極めるポイントは?
いざ事務所に所属したいと思っても、何から始めたらいいのでしょうか?
今の時代は、インターネットで検索をすれば、さまざまな事務所が見つかります。
各事務所のWebサイトでは、応募要項やオーディションの情報を手に入れることができるはずです。
基本的に、どんな事務所も、書類選考後、オーディションや面接をパスしてから所属します。
もしくは、街中でスカウトをされることもあるでしょう。
しかし、どちらにせよ注意が必要です。
なかには、安全とは言いがたい事務所が存在するのも事実です。
以下の8つのポイントを参考にしながら、事務所の信憑性を確かめていきましょう。
①事務所が実在し、Webサイトがあるか?
たとえばスカウトをされた場合は、会社名(事務所名)や、担当者など、インターネットなどで事前に調べましょう。
そもそも、きちんとしたWebサイトがない場合は、その時点で怪しいといえます。
事務所がない場合も信頼できません。
住所があっても、適当な場所だったり、バーチャルオフィスで住所だけを借りている場合もありますので、インターネットのマップなどで、実在するかどうかを調べてみましょう。
②事務所の実績はきちんとあるか?
ほとんどの事務所のWebサイトには、所属しているモデルやタレントたちが、どんな仕事をしてきたのかを載せています。
実績の有無はもちろん、その事務所がどういった仕事をしてきたのか、必ず調べましょう。
書いてあることや、言われたことを鵜呑みにするのではなく、実績そのものをインターネットで検索してみることもおすすめします。
業界の大きな問題のひとつとして、AV(アダルトビデオ)に関わっている事務所の存在があります。
「これからはCM系もやるので大丈夫」などと説得する人もいるようですが、イメージに慎重な広告業界は、そういった経歴のある事務所に、仕事を依頼することはありません。
不本意でも、いちどAV業界に関わってしまえば、その後のキャリアや、人生に与える影響は想像以上です。
芸能人やモデルを目指すのであれば、絶対に避けなければなりません。
③設立からどれくらいか?
以前の記事でもあったように、モデル業界や芸能界は、信頼関係がなければ仕事をもらえません。
まったく経験がなく、設立して間もない会社の新規参入は、とても難しい世界です。
よって、基本的には、事務所を設立して長ければ長いほど、信頼ができるといえます。
ただし、新しい場合でも、社長の前職で経験が長かったり、取引先との信頼関係を築いていることもあります。
そういった場合でも、Webサイトに、その旨を書いてあることがほとんどです。
会社や社長のキャリアをチェックしましょう。
④事務所の雰囲気やスタッフの対応はどうか?
面接やオーディション、登録などで事務所に行くことになるかと思います。
来る必要がないと言われても、訪問したほうがいいでしょう。
また、もしもあなたが未成年の場合は、必ず保護者の人と行きましょう。
・事務所に入ったときの雰囲気
スタッフがヒマそうにしていたり、部屋が汚かったり、なんとなく雰囲気が嫌だなと思ったりしたら要注意です。
きちんと仕事がまわっていれば、電話応対をしていたり、スタッフ同士が相談していたりと、活気があります。
・事務所の規模
従業員数や、事務所の規模は関係ありません。
どれだけ実績があるのかが大切です。
しかし、あまりにもスタッフの数が少ないのに、所属タレントが多い場合は、ケアが行き届かない可能性が高いので、バランスが適切かどうかも見てみましょう。
その場ではわかりにくい場合は、Webサイトに従業員人数が掲載されていることが多いので、確認してみましょう。
・スタッフの対応や、マネージャー、代表の人柄
スタッフはフレンドリーに出迎えてくれるでしょうか。
事務所のスタッフは、モデルたちの代理人になります。
自分の代理人として相応しいか、信頼関係を構築できるか? そういった視点で見てみましょう。
・質問にきちんと答えてくれるか
疑問にははっきりと答えてくれるかも大切です。
お金の面なども、曖昧にせず、きちんと訊いてみましょう。
なかなか話したがらなかったり、歯切れが悪い場合は、要注意です。
⑤高額な登録料や契約金が発生しないか?
事務所への登録料は、無料、有料、どちらの場合もあります。
基本的には無料が多いですが、多少の登録手数料や、コンポジット作成代金などがかかることもあります。
注意しなければならないのは、「オーディションに受かりました」と合格通知をされたあとに、養成所に入るように勧められ、高額な授業料を提示されたり、登録料を提示される場合です。
こういった事務所は、養成所の利益が目的で、タレントのマネージメントは二の次になっている場合があります。
高い授業料を払ってでも、レッスンを受ける価値があると思えば構わないとは思いますが、養成所を卒業しても、仕事が来るとは限りません。
東京都のWebサイトでも、消費者被害情報として似たようなケースが寄せられています。
参考:東京都くらしWEB(外部サイト)
「タレントオーディション合格?そこに落とし穴はありませんか!―高額な事務所所属契約やレッスン契約に注意―」
大手の事務所でも、養成所を運営しているところはいくつもあります。
もちろん、俳優やタレント、歌手、お笑い芸人などで、養成所からデビューして売れっ子になった人もいますが、それはほんの一握りです。
オーディションに受かっても、まずはよく調べて、じっくり考えてください。
現実は、「養成所は近道」とも言いがたいのです。
事務所の知名度が低すぎたり、デビューして有名になった人が誰もいない養成所は、要注意です。
事前に調査し、慎重に検討しましょう。
⑥契約書を提示し、説明してくれるか?
この業界では、ファジー(曖昧)は危険です。
機密情報が多い世界ですから、必然的に、守秘義務や誓約書、SNSについてのルールなど、たくさんの書類にサインが必要です。
ここで大切なのは、契約の内容についての理解です。
誠実な事務所であれば、口頭でも説明があるはずです。
どのように仕事が来るのか、支払い日や、支払い方法なども確認しましょう。
自分でも、内容を理解してからでないと、契約書にサインしてはいけません。
⑦「有料職業紹介事業許可」を取得しているか
芸能事務所やモデル事務所は、法律上、「有料職業紹介事業許可」を取得する必要があります。
事務所のWebサイトの「会社案内」ページなどで確認してみましょう。
もしわからなければ、事務所に問いあわせてもいいと思います。
⑧口コミ・周りの人・働いている人に聞く
可能であれば、事務所を知っている人や、そこに所属している人、働いているスタッフから話を聞くことができるとベストです。
登録などの費用の負担があるのか、マネージメントは万全か。
トラブルはないかはもちろんのこと、良いところなども聞けるといいでしょう。
モデルも自身も、自分の身は自分で守ることが大切
以上、安全な事務所を見極める8つのポイントをご紹介しました。
もちろん、これだけで100%安全というわけにはいきません。
詐欺行為をするような人たちは、時代にあわせて、様々な手法を考えます。
芸能界への夢を持つ人は、チャンスを掴みたい一心で、甘いことばを信じてしまうことも少なくありません。
そんな人々を利用しようとする悪質な事務所に非があるのは間違いないですが、トラブルに遭ってからでは遅く、場合によっては一生に関わることもあります。
トラブルを未然に防ぐために、自分でも知識を持ち、身を守りましょう。
とはいえ、必要以上に恐れることはありません。
きちんとした良い事務所は多数存在していますし、ポイントを押さえれば問題ありません。
どうか安全に、夢を実現させていってください。
次回は、「私はモデル事務所に入れるの? まずは知りたい2つの契約形態と仕事の種類」についてご説明します。