「選ばれるモデル・タレントになる!」ためのTipsを、あのスティーブン・スピルバーグ監督作品のキャスティングも手がけた、業界歴32年の大御所「Kuze Casting」代表の久世様にお話を伺いました!
本格的にモデル・タレントとして活躍していきたいと思っているけど、写真選考が通らない、オーディションに呼ばれるけど仕事に結びつかない等々、せっかく事務所に登録したのになかなか仕事が決まらないお悩みを持つ方は必見!どうしたら【選ばれるモデル・タレント】になれるのか、他では聞けないキャスティング直伝の大変貴重なお話が満載です。今後の皆様のタレント活動の参考になれば嬉しく思います。
第一回は「写真選考が通る為に、押さえるべきポイント」についてを解説します!
<登場人物>
マネージャー:Masako
回答者:Kuze
すべてはコレで決まる!?コンポジット写真の選び方とは
ポイント①「会いたい!」と思わせる写真を選びましょう
Masako:
全ての仕事は写真選考を通らなければ始まりませんが、第一関門の写真選考では、コンポジットのどういうところを具体的に見ているのでしょうか?
Kuze:
基本的に写真資料とプロフィールからはその人がどんな方なのか、できる限り本人に近い自然な状態の資料を見たいですね。
役柄のイメージももちろんありますが、この人に会いたいと思わせる写真、そしてオーディションに来たときに「あっ!この人と仕事がしたいな」と思わせてくれる人が選考されやすいです。
元の顔がわからないような厚化粧の写真や、サングラスに帽子などのイメージショット、カッコイイけれど本人とはわからないような写真は必要ありません。
また、以下の条件で撮影された写真3枚~4枚は確実に入れて欲しいです。
2:こちらまで幸せになりそうなとびきりの笑顔(正面・バストップ)
3:全身(フル)
4:仕事の写真
実際に参考になるモデルの写真を見ながら、ポイントを確認していきましょう。
◆コンポジット使用写真例
まず1:普通の穏やかな顔(正面・バストアップ)の大切な点は
・カメラに真っ直ぐ目線があっているか、
・唇をきちんと閉じているか、
・背筋が伸びて顎が自然な位置にあるか、
の3点です。
簡単なようですが、目線があっていない・口がだらしなく開いている・猫背なのに顎は上を向いていて顎位置が不自然など、最低条件を満たしていない写真が意外にも結構あります。残念ですが、そのような写真では選考を通過することはありません。また女性の場合はナチュラルメイクであること、男性の場合は髭あり、髭なしの状態がわかるといいですね。
2:こちらまで幸せになりそうなとびきりの笑顔(正面・バストップ)では
・笑顔という表現力
・歯並び
を見ています。
カメラ目線でしっかり歯を見せ、とびきりの笑顔を正面写真に撮られることは、かなり難しいことです。歯並び、歯のお手入れがきちんとできている事、そして表現力も同時にアピール出来ます。表現力、演技力はオーディションでの最大の武器になります。
3:全身(フル)の写真では
・身体のライン
・バランスと姿勢
を見ています。
似合う服、顔まわりとなるトップスは白だと顔写りは良くなります。白のトップスは、レフ板となるからです。そして自然な綺麗な姿勢の写真だとベストです。
ポイント②特技・長所は、写真でもアピールを!
Masako:
特にどんな写真が好印象・目を惹く、などあれば、ぜひ教えてください。
Kuze:
上記の4枚に加え、お仕事の写真や得意なものをひとつ入れるとより好印象になります。お仕事の写真が1枚でもあると、撮影現場経験者ということがわかります。撮影現場の経験が全くない人であれば、せめてコンポジットはスタジオで撮影した方が、資料としても経験としても良いと思います。
また長年続けているものがあれば、その写真も見せてほしいです。例えば長年クラシックバレエをされている方であれば、バレエの美しいポーズ写真をひとつ入れて「クラシックバレエ25年のキャリアがあり、現役で活躍中」とプロフィールに写真やコメントが入っていると、かなりインパクトがあり好印象です。しっかりと何かを長く続けているものがある人には、独特の魅力があります。何か長く続けていることがある場合、プロフィールに必ず添えておきましょう。バレエのオーディションでなくても、撮影に対する忍耐力や体力を期待して、オーディションでお会いしたくなります。
◆コンポジット使用写真例:特技など
ただし2、3回程度レッスンの経験があるといったものをプロフィールに記載するのは絶対にやめましょう。書類に記載することは、カメラ前でリクエストを受けた時に堂々と披露することができるもののみにしましょう。
ポイント③身体の『パーツ』に注目させてもOK!
Masako:
特技や長所以外で、他にアピールできる部分があるとすれば、何がありますか?
Kuze:
身体のパーツに自信がある方は、それがわかる写真を入れても良いと思います。例えば手の美しさや足の美しさに自信がある方は、それが伝わるまたは強調した写真を写真資料に入れておくと良いでしょう。パーツモデルの話が急に舞い込むこともありますので、チャンスの場が広がります。もちろん資料で提出したら、しっかりと常日頃の全身ケアもしっかりと継続していてください。
◆コンポジット使用写真例:美しい手のアピール
ポイント④これは避けたい!BADな写真と身体の状態
Masako:
なるほど、自信のあるパーツも「強み」になるのですね。
最後に「これは使わない方が良い」という写真の例や体の状態があれば、お聞かせください。
Kuze:
コンポジットは実は証明写真に近い資料です。基本として写真そして身体のサイズは、常に最新の本当の状態(髪の色、長さなど)がはっきりわかるようにしていただきたいです。
これを踏まえて、以下の3点では「出来れば避けて頂きたい」状態をあえてお伝えします。
1:かなり昔に撮影した写真
2:タトゥーがとても多い
3:ジェルネイルをしている
モデル歴が長い方に見受けられますが。例えば10年以上前に撮影した写真を使っているコンポジットだったり、写真と本人の見た目があまりにもかけ離れている場合は好ましくありません。キッズの写真でも同じことが言えます。極端ですがコンポジットは赤ちゃんの頃の写真のままで、実際は5歳の子どもがオーディションに来たらおかしいですよね。こうした写真を使用して資料を提出した場合、本人に対しても事務所に対しても「ちゃんと管理しているのかな」と疑問を持ってしまいます。その為、古すぎる写真をコンポジットや資料に使用する事は避けましょう。
刺青が多い人は、残念ながら日本の広告の仕事の機会が制限される可能性が大きいです。もしたくさんのタトゥーを入れたいと考えている方やファッションとして入れたいと思っている方は、あまりお勧めできませんし入れる前に再度よく考えて下さい。レーザーで消せるものもありますが、消せないものもあります。
よく「海外ではタトゥーなんて当たり前!」「これくらいなら平気なのに!」と言われたりしますが、日本で撮影のお仕事するのであれば、日本でのタトゥーへの印象を考えた方が良いでしょう。
またジェルネイルも基本的にやめておいてください。「決まったらオフします」という感覚でいるのは避けましょう。仕事が決定してもスケジュールが合わずにジェルネイルを取りに行けない、となれば大きなトラブルになります。モデルであれば、ジェルネイルはやめておいた方が無難です。
厳しいようですが、日本でモデルとしてキャスティングされる場合は、こうした視点からも審査をされていると日々意識しておくと良いでしょう。
くれぐれも自分自身が商品であるということを忘れないように。
気分次第、オシャレ感覚で、昨日と今日が全く別の人にはならないように。
これを頭に置いておいて、コンポジット写真を選んでみてください。チャンスが広がる事をお祈りしています。
Masako:
久世さん、貴重なお話をありがとうございました!
次回は「オーディションで受かる秘訣」のTipsについてお話しを聞きました!
おたのしみに!
キャスティング・ディレクターの久世理恵子氏は、スティーブン・スピルバーグ監督の「太陽の帝国」に日本人俳優キャスティング・アシスタントとして参加。また「ビルマの竪琴」(1985年・市川崑監督)や「漂流教室」(1987年・大林宣彦監督)などの邦画にも外国人のキャスティングおよび現場通訳として参加。1989年からはキャスティング・クゼとして活動を開始し、広告を中心にTVCF、グラフィック、ショー、プロモーションビデオやナレーションなど、日本人から外国人まで幅広いキャスティングを手掛けて現在に至る。
キャスティングクゼHP